ガラス化凍結法とは?安全な方法で高い生存率が期待できる最新のガラス化法|リプロチャンネル【Official Video】

ガラス化とは?歴史や仕組みについてご紹介

ガラス化とは?

・ガラス化凍結法とは
・ガラス化の歴史
・ガラス化の仕組み

ガラス化凍結法とは

ガラス化凍結法とは、数ある細胞凍結法の中のひとつであり、もっとも簡便かつ安全な方法として現在世界中に普及しています。
卵子や胚を安全に、半永久的に、理論上はその質を落とすことなく保存することが可能です。
妊孕能温存や不妊治療の手段として、「いつか来る大切なその日まで、卵子・胚の時間をとめおく」という大きな役割を担っています。

ガラス化の歴史

1949年 Polge グリセロールによるニワトリ精子の凍結保存成功=凍結保護物質の発見
1972年 Whittingham 緩慢凍結法による初のマウス胚凍結保存に成功
1977年 Willadsen 簡易緩慢凍結法の確立
1983年 Trounson 凍結保存胚による初のヒト妊娠分娩例を報告
1985年 Rall,Fahy ガラス化凍結保存法による初の胚凍結に成功
1991年 Kuwayama 16step法によるウシ胚のガラス化凍結保存に成功
1999年 Kuwayama 最少容量冷却法(MVC法)による初のヒト卵子ガラス化凍結保存に成功
2000年 Kuwayama Cryotop法の確立
2003年 Kuwayama 米、南米、欧州にて初の凍結保存卵子による妊娠分娩に成功
2004年
2012年 Kuwayama Cryotec法の確立

ガラス化の仕組み

ヒトの身体の約60%は水分でできていると言われるように、細胞の中にはたくさんの水が含まれています。
水は自然界で唯一、固体化時に体積が膨張する物質です。

その仕組みは、熱エネルギーが低下し水分子の活性が下がると、水分子同士が手に手を取り合い網目状の均一な構造を取るというもので、これを氷晶形成と呼びます。
精子と違い含水量の多い卵細胞では、この氷晶形成による過度な膨張によって細胞膜が破れてしまうため、長年その凍結保存は極めて難しいと言われてきました。

ガラス化凍結法では、この細胞内の水を凍結保護物質と呼ばれる物質を含む溶液で置換し、浸透圧差を利用して細胞を脱水させます。
凍結保護物質が水分子同士の間に割り込むことで氷晶形成が阻害され、卵子や胚はその状態のまま一気に-196℃という超低温の液体窒素に浸漬されます。

このように、その物質が液体のまま流動性を失った状態をガラス化と言います。
-196℃ではいかなる物質もエネルギーを失って動くことができず、その質は向上はおろか劣化することもできないため、凍結したものを半永久的に「そのまま」保存することができるのです。